こんにちは、でぃーんです。
本日は累進配当を政策に行なっている三井住友FGについて解説していきたいと思います。
累進配当とは
累進配当とは、配当の額を前回対比同等以上にするというものです。
つまり投資家にとっては、累進配当を政策にしている企業に投資する事によって、企業がよほど悪い状態にならない限りは、減配に怯える事なく投資できるという事です。
今回題材にしている三井住友FGに関しても、公式のHPに
「株主還元は、配当を基本。配当は・・・(中略)・・・累進的に行うもの」
と明記されています。
一見すると投資家にとってメリットの大きい制度に感じますが、デメリットについてもきちんと把握しておくべきだと思います。
そこで以下では、三井住友FGの累進配当政策が逆に配当をあげにくくさせている3つの理由について解説していきます。
配当が下げられないプレッシャー
累進配当とは、配当を絶対に下げないという強い意志の現れです。
ただそれを裏返すと、「配当を下げられないが為に、配当を上げにくいというジレンマ」があります。
昨今はコロナウイルスにはじまり、米中関係など先行きが不透明です。
そんな中、簡単に配当性向を上げてしまっては、次の決算がよくなかった場合、一気に配当性向が高まってしまう事になります。
当然経営者としては、安定的な経営を続けるために利益の額によって配当の額を流動的に変更するべきなのですが、累進配当を掲げている以上、配当を簡単に下げる事は出来ません。
今回のコロナ禍においても三井住友FGは増配しているので、これは私の杞憂かもしれませんが、一般論で考えると、決算が不透明な中で増配しにくいのは理解して頂けるかと思います。
株主還元が配当に偏る
一般的に企業が行う株主還元には
- 配当
- 自社株買い
の2つがあります。
三井住友FGは累進配当を掲げている為、「配当性向のウエイトを自社株買いに割けないが為に、配当額を上げられないというジレンマ」に陥っています。
文章では理解しにくいと思うので、以下2つのグラフをご覧下さい。
1つめは三菱UFJFGと三井住友FGが配当金に使った金額の推移です。

この10年間で三井住友FGは三菱を上回るペースで配当にキャッシュを使っています。
さすが累進配当を掲げている企業です。
それでは、当然投資家が受け取る配当金の額も三菱を上回るペースで増えているはずですよね?
次に配当金の増加率をご覧下さい。

三菱が大きく上回っていますよね。
三菱は業績が好調な時に、自社株買いも機動的に行っており、配当に使うキャッシュを大きく増やすことなく配当額を上げているのです。
自社株買い後、株を消却すれば発行済株式総数が減るので、配当額を上げても支払うべき配当金は大きく増えないですよね。
ちなみに私の知る限りでは、三井住友FGは2018年に初めて大型の自社株買いを行なっています。
バーゼル規制
銀行はバーゼル規制によって財務体質を厳しく規制されています。
バーゼル規制とは、簡単に言うと自己資本比率を8%以上に保っておかないといけないというものです。
長い歴史があるのですが、最終的にはリーマンショックを経て、金融機関が倒産を防止し、経済にダメージを与えないようにと枠組みが決まったものです。
ところで、株主還元とは自己資本を毀損して投資家に還元を行うことです。
株主還元を行っているのは、三井住友銀行ではなく三井住友FGなので、少し違うのですが、自己資本を毀損する株主還元に細心の注意を払っている事に変わりはありません。
また前述したものと被りますが、1度上げた配当を下げないと言っている以上、配当額を決める際には来期の業績が悪くなった場合の自己資本比率のシュミレーションを行った上で決めているはずです。
そうすると来期に業績が悪くなった場合、配当を下げられる企業と下げられない三井住友FG、どちらが機動的に配当を上げられるかは明らかなのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事のまとめると、三井住友FGの累進配当政策が逆に配当額を上げにくくなっていると思う理由は
- 配当を下げられないプレッシャー
- 株主還元が配当に偏る
- バーゼル規制
の3つでした。
もちろん全て私の持論であり、間違っている可能性も大いにあります。
しかし事実として、配当額は三菱UFJフィナンシャルグループの方が増えています。
もちろん業績の差なども理由としてあります。
これらの意見は累進配当を否定するものではなく、累進配当のデメリットもきちんと検討して頂きたく発信したものです。
皆さんの考えるキッカケとして頂けたら幸いです。
ここまでご覧頂いて有難うございました。
それではまた!!!