こんにちは、でぃーんです。
先日、元ZOZOの田端さんという方がこんなツイートをしていました。
「国からの10万円の給付金で日経平均PUTオプション」を購入する。」
「割の悪くない宝くじだ」と発言しているのです。
でも一般の方々にとって全く聞きなれない言葉ですよね。
「オプション」というの「デリバティブ」と呼ばれる取引の一種なのですが、今回は普段「デリバティブ」を業務の一環としている銀行員の私が、「デリバティブ」について分かり易く解説したいと思います。
また、田端氏のいう「日経平均PUTオプション」とは何のか。本当に買っていいのか。ということについても解説したいと思います。
その解説内容だけ見たい方は1番下までスクロールお願い致します。
デリバティブとは
デリバティブとは日本語にすると
金融派生商品
という意味になります。
どいうことかというと、株や為替は金融商品ですがそこから派生した商品ということになります。
今イチ、ピンとこないと思うので例を挙げます。
私が冒頭で紹介した田端氏のツイートでは
「日経平均PUTオプション」
という言葉が使われていました。
これは「日経平均」という金融用品から派生した商品ということになります。
厳密に言えば少し違うと思いますが「デリバティブとは?」なんて言う哲学めいた事に時間をかけても仕方がないので次に行きましょう。
デリバティブの種類
デリバティブには
- 先物
- 先渡し
- スワップ
- オプション
の4つの取引が存在します。
どれも違った役割があるので一つずつ解説していきます。
先物取引
先物取引とは
「ある商品を買ったこと(売ったこと)にして、将来に売る(買う)ことでその差額分の資金が得られる取引」
のことで、現物を買うための資金を用意しなくても良い事が特徴です。
これだけではさっぱりわからないと思うので、今話題の原油先物取引を例に出して見てみましょう。
原油が異常に安い!!!
1ケ月後には絶対値上がりしてるから、今買った事にしておこう!!
3月末の時点で5月物の原油先物は1バレルあたり20ドルくらいだったと思います。
その時点で歴史的な大暴落だったので、5月時点で原油価格はある程度回復すると考えたとします。
3月末20ドル→4月末30ドルくらいには回復
というシナリオを考えていたとすると、
原油という商品を20ドルで買った事にして
(実際には買っていない)
1か月後に30ドルで売却した事にすれば
(実際には売っていない)
10ドルの儲けが得られるのです。
(実際の儲け)
なんとも不思議な話ですよね。
ただ実際こう上手くもいかず、原油価格は史上初めてマイナスへと突入しました。
原油価格が上昇すると見込んでいた多くの投資家が大損しました。
でぃーんもそんな内の一人だとか。。。
次に行きましょう。
先渡し取引
先渡し取引とは、取引内容は実は先物取引と全く同じです。
違うのは取引相手だけです。
先ほどの先物取引では私のような一般の投資家が自由に売買出来る市場でしたが、先渡しというのは
「企業」と「銀行」
のような相対で行われる取引のことを言います。
将来使うドルの値段を先に抑えたりすることができます。
まああんまり関係ないでしょうから次に行きましょう。笑
スワップ取引
スワップ取引とは
「キャッシュフローの等価交換」
という意味です。
このキャッシュフローとは受け取る利益と、支払う損失の差の事を言います。
このキャッシュフローを投資家で交換する取引がスワップ取引です。
これも具体例を見ていきましょう。
例えば、家を買うことを想定して下さい。
その時に住宅ローンの金利は変動金利と固定金利の2種類から金利を選べますよね。
変動金利は0.7%!
固定金利は1%!
変動金利一択でしょ!
と、なる方もいれば
いつ金利が上がるかわからないし
固定金利でいいや!
となる人もいるのです。
変動金利は
- 将来金利が上がるリスクを持つ代わりに
- 低い金利を享受できるもの であり、
固定金利は
- 金利が上昇しない代わりに
- 金利が高い ものなのです。
当然これらの商品に優劣はなく、理論上同じ支払いになると計算されています。
ただ、あなたは今、固定金利で家を建てたのにも関わらず金利が下がりっぱなしでイライラしているかもしれません。
一方で変動金利で家を建てた人はそろそろ金利が上がるかもしれないと怯えているかもしれません。
こういった2人が合わさった時に、お互いの持つキャッシュフローを交換することができます。
つまり、もともと固定金利で借りていた人が変動金利へ。変動金利で借りていた人が固定金利へとなるのです。
ただ、理論上はこういう取引は可能ですが、こういったスケールではなく、国家間の通貨の金利の交換などが主流に行われているのがスワップ取引の特徴です。
ちなみに日本ではじめてのスワップ取引は坂本龍馬が薩摩藩と長州藩で行った米と武器のスワップらしいです!
世界一優しい金融工学の本ですという本に、私が説明しているデリバティブの話や、この坂本龍馬のスワップ取引の話も載っています。
オプション取引
最後がお待ちかねオプション取引です。
オプション取引とは
「権利の売買」
をすることです。
そして、購入することができる権利は
- コールオプション買い
- コールオプション売り
- プットオプション買い
- プットオプション売り
の4種類です。
コールオプションとは「買う」権利の事で
プットオプションとは「売る」権利の事です。
また、権利を売買しているだけなので、行使しなくても良いのです。
「買う権利」を売買
「売る権利」を売買
って意味わからなすぎますよね笑
例えばりんごが100円で売っているとします。
今市場では豊作で、りんごの値段が下がりそうです。
そこで農家のあなたは将来りんごを今と同じ100円で売ることができる権利を買います。
将来80円の物を100円で売ることが出来るので20円の儲けです。
これがプットオプション(売る権利)買いです。
逆にあなたが市民だったとします。
今年は豊作とは知らず、りんごが値上がりしそうだと考えたとします。
なので、今100円のりんごを将来も100円で買う権利を買いました。
しかし実際にはりんごの値段は下がっていき、100円で購入できる権利は必要なくなりました。
この権利を放棄し、りんごを買わなくても良いのがオプション取引の特徴です。
これがコールオプション(買う権利)の買いです。
それでは、今学んだ事を踏まえて田端氏の発言について考えていきましょう。
日経平均プットオプションは買いか
先程学んだオプション取引の考え方で言うと
「日経平均プットオプション」の買い
は、日経平均を今の価格水準で、将来売ることが出来る権利を買うということです。
田端氏はその発言からわかるように将来日経平均株価が大きく下げることを見込んでおり、将来今の価格で売ることができれば大きく儲かると考えているようです。
実際、同氏の発言通り、株価は実体経済と掛け離れたものとなっており、コロナバブルという言葉がマーケット界隈では使われている程です。
しかし、株価は実態経済を表す尺図ではなく、人々の希望を表すものだと私は考えいます。
(クサいこと言ってすみません笑)
コロナウイルスの終息がいつになるかわからない今、マーケットはウイルス終息を願った価格になっていると考えられます。
当然、今後の値動きは誰にもわかりません。
実態経済通りに動くなら暴落するでしょうし、テクニカル(チャート)分析をしても、どんどん上昇していくとは考えにくいのは確かです。
しかし、私の拙いブログを読んで下さっている投資歴が長くない皆さんにおかれましては、田端氏の発言のようなリスクを取りに行くことは控えるべきだと考えます。
更に言うと、どうせ投資するなら半丁バクチのようなオプション取引ではなく、経済成長が見込める先に投資していくべきだと思います。
長くなりましたが、以上でデリバティブの解説を終わります。
気軽にコメントお待ちしております。
最後までご覧頂きありがとうございました。