コラム

積立NISAとiDeCoどちらがおすすめ?現役銀行員が税金を緻密に計算


こんにちは、でぃーんです。

本日は積立NISAかiDeCoどちらが良いのかという事について解説していきたいと思います。

まずそれぞれの制度の解説をした後に検証をするので、そちらをご覧になりたい方は、目次から、スキップお願い致します。

また、iDeCoに関しては出口戦略についても考察していますので、是非ご覧下さい。

尚、今回出てくる表については断りのない場合全て国税庁のHPを参照しています。

積立NISA・iDeCoとは

これらはどちらも国の制度で、非課税で運用が出来るというものです。

2019年に話題になった「老後2000万円問題」からも、こういった国の制度で運用できるものが注目され始めています。

それぞれの特徴は

積立NISA

メリット

  • 手数料無し
  • 運用益非課税
  • 期間中の売買自由
  • 年間40万円まで

デメリット

  • 期間20年まで(改訂あるかも)

iDeCo

メリット

  • 税制優遇
  • 運用益非課税
  • 期間65歳までと長い(20歳なら45年かけられる)

デメリット

  • 65歳まで原則引き下ろせない
  • 年間276,000円まで(会社にDCが無い一般的なサラリーマンの場合)
  • 手数料有り

という特徴があります。

一見すると積立NISAの方がメリットが多そうに見えますが、iDeCoの最も強力なメリットは税制優遇です。

これはiDeCoにしかありません。

税制優遇とは、

掛金を全額所得から控除出来る

という事です。

これについてはiDeCoの検証にて詳しく解説します。

そこで今回は、積立NISAとiDeCo、果たしてどちらが最終的に得をするのかという点について一般的なサラリーマンをベースに検討していきたいと思います。

前提条件

今回は同じ条件の場合、iDeCoか積立NISAどちらの方が良いのかという検証をします。

その上で、下記条件を設定します。

【年齢】 40歳

【年収】 500万円

【配偶者】有

【子供】 2人

【期間】 60歳までの20年間

【掛金】 23,000円/月

【運用益】5%/年

【退職金】2,000万円

【年金】 20万円/月

【勤続】 38年(22歳〜60歳)

今回のロールモデルは、定年まで働くサラリーマンの平均値と近づけてあります。

期間は積立NISAに合わせて20年間、金額はiDeCoに合わせて月額23,000円で統一します。

以下では、上記前提条件を基に積立NISAかiDeCoかという点を検証していきますが、もちろん前提条件は人それぞれ変わってきます。

そして前提条件が違えば、検証結果も変わってきます。

今回はあくまでも、平均的なサラリーマンにとってどちらが良いのかという検証なので、ご了承願います。

積立NISAの検証

まずは積立NISAの検証を行いましょう。

こちらの検証は簡単です。

【期間】 20年

【掛金】 23,000円/月

【運用益】5%/年

これを計算するだけです。

20年間の運用で

【元本】 5,520,000円

【運用益】3,972,956円

【合計】 9,492,956円

となります。

プラス72%となりました。

積立NISA以外の投資だと、この運用益に対して20.315%の税金がかかりますが、積立NISAの場合はかかりません。

9,492,956円をそのまま受け取る事が出来ます。

iDeCoの検証

iDeCoのメリットは

  • 税制優遇
  • 運用益非課税

の2点です。

そのうち運用益非課税に関しては、上記積立NISAと全く同じです。

期間・金額・運用益が同じであれば当然同じですよね。

それでは残る一つのメリット税制優遇について検証していきます。

iDeCoの税制優遇とは、

掛金を全額所得から控除出来る

という事でしたよね。

これは、課税所得が190万円の人が年間に30万円iDeCoに拠出した場合、課税所得が160万円になるという事です。(課税所得190万円ー拠出額30万円)

そして下の表のように、課税所得190万円の人の所得税は5%、住民税は一律10%であることから、iDeCoに30万円拠出する事によって税金が年間45,000円安くなるのです。(30万円×(所得税5%+住民税10%)=45,000円)

そしてこの税制優遇額から、各種手数料と受取時の税金を引いた額が、プラスであれば積立NISAを上回るパフォーマンスをしていると言えます。

でぃーん

運用益は非課税だけど受取る際には税金はかかる為、要注意です。

この式をまとめると

(課税所得毎の所得税と住民税×拠出金額×年数)ー(拠出時の手数料+受取時の手数料+受取時の税金)

となります。

それでは、この式を前提条件に当てはめて考えてみましょう。

課税所得を出す為の計算式は

収入ー給与所得控除ー所得控除=課税所得となります。

計算根拠は下の表の通りです。

給与所得控除

500万円×20%+54万円=154万円

所得控除

社会保険料控除60万円+配偶者控除38万円+基礎控除38万円+扶養控除76万円=212万円

課税所得

収入500万円ー給与所得控除154万円ー所得控除212万円=134万円

所得控除額の社会保険料控除は大体のイメージですが、他に生命保険や、住宅ローンなどに加入していた場合、さらに控除されます。

今回のロールモデルでは課税所得は134万円である事が分かりました。

そして課税所得が134万円の人の所得税率は5%で住民税率は10%です。

参考にもう一度表を載せておきます。

そうすると課税所得税率に

【期間】 20年

【掛金】 23,000円/月

を掛けると

(所得税5%+住民税10%)×(23,000円/月×12ヶ月×20年間)=828,000円

1年あたり41,400円

20年で828,000円税金が安くなる事が分かりました。

次にこれら税金控除額から各種手数料と受取時の税金を控除して行きましょう。

まず拠出時の手数料として

  • 口座開設に2,829円
  • 毎月の手数料に171円

かかります。

(楽天証券を参照)

これらはどちらの金融機関で開設しても取られる手数料です。

(もしかしたら、金融機関が赤字で還元をやってる場合などはあるかもしれません)

更に受取り時にも1回あたり440円の手数料がかかります。

そしてiDeCoは

  • 一時金方式
  • 年金方式

の2通りの受取り方が出来るのですが、どちらにおいても別の税金がかかります。

一時金の場合は退職所得として

年金の場合は雑所得として税金を取られます。

まず一時金として受取る退職金所得の場合の計算方式は

(会社の退職金+iDeCoの受取金ー退職所得控除額ー控除額)×2分の1×退職所得税率

で求められます。

退職所得控除額は勤続38年の場合

800万円+70万円×(38年ー20年)=2,060万円

となります。

退職所得金額は

【退職金】2,000万円

【iDeCo】 949万円

【控除】 2,060万円

【掛目】 2分の1

退職所得金額 444万円

退職所得金額が444万円の時の控除額は427,500円で、税率は20%です。

(444万円ー43万円)×0.2=20万円 

(千円以下切捨て)

つまり、60歳時点で退職金とiDeCoを同時に貰うと、20万円の税金がかかります

ただ、iDeCoを受け取ってから期間を5年以上開け退職金をもらう事で、どちらにも別々に控除が使える事となります。

その場合、どちらに対しても受取金額よりも控除額の方が大きいので税金はかかりません

また、

  • 退職金とiDeCo同時受取
  • iDeCoを受け取ってから退職金
  • 退職金を受け取ってからiDeCo

全てで税金の計算方法が異なってきます。

でぃーん

正直これは私も知りませんでした。さすがにややこしすぎる!!!

これらを計算すると膨大な量になってしまうので、参考になる外部リンクを掲載しておきますので、よければ御覧下さい。

https://financial-field.com/pension/2019/05/21/entry-43754

とりあえず今回は1番税金のかからない方法である、iDeCoを貰って5年明けてから退職金を受取る場合での計算をします。

計算式は

(課税所得毎の所得税と住民税×拠出金額×年数)ー(拠出時の手数料+受取時の手数料+受取時の税金)

でしたよね。

1つずつ当てはめていきます。

(課税所得毎の所得税と住民税 15%×拠出金額 23,000円/月×12ヶ月×年数 20年)ー(拠出時の手数料 2,829円+171/月×12ヶ月×20年+受取時の手数料 440円+受取時の税金 0円)=783,691円

20年間で783,691円税金が少なくなった事が分かりますね。

次に年金方式で受け取る場合の計算をします。

ただ、結論を言ってしまうと、一括方式で受け取った方が良いので、興味ない方はまとめまでスライドして下さい。

年金方式で受取る金額は月額5万円とします。

理由は特にありません。

年金方式の際に必要な税金は

(年金収入ー控除)×税率

で計算されます。

年金20万円/月×12ヶ月+iDeCo5万円/月×12ヶ月=300万円

300万円の時の控除額は120万円なので、年金課税額は180万円になります。

年金課税所得が180万円の場合の税率は所得税5%と住民税10%です。

この控除は併用できません。

iDeCoの資金9,490,000円に対して、15%の税金が計上されるので、142万円が税金となります。

また受取る際の手数料として1回当たり440円がかかります。

受取る回数は9,490,000➗(5万円+440)=188回です。

440円×188回=82,720円 手数料がかかります。

年金方式で受取る際の計算をすると

(課税所得毎の所得税と住民税 15%×拠出金額 23,000円/月×12ヶ月×年数 20年)ー(拠出時の手数料 2,829円+171/月×12ヶ月×20年+受取時の手数料 82,720円+受取時の税金 142万円)=ー718,589円

となります。

年金方式で受取ると大幅なマイナスになる事が分かりましたね。

まとめ

今回の記事では積立NISAかiDeCoどちらがお得かという事について検証しました。

20年間毎月23,000円投資した場合の評価額は949万円で、それぞれ税金の恩恵が

  • 積立NISA 0円
  • iDeCo 一括受取 +783,691円
  • iDeCo 年金方式 ー718,519円

となる事が分かりました。

それぞれの特徴として

積立NISA

いつでも降ろせるが税金の控除がない

iDeCo

60歳まで受け取れないが、税金の控除がある

という事が分かりました。

最終的な判断は

949万円の評価額に対して78万円の税金控除を、60歳まで下ろせないという制約付きでも受け入れたいかどうかです。

途中にも記載しましたが、今20代の私にとっては退職金がいつ貰えるかも分からず、人生においてもいつ大きなお金が発生するか分からない状況です。

その中で、949万円の評価額に対して78万円の税金控除は私にとっては受け入れ難いです。

また、受取時に今回のような経済打撃がこないとも言い切れません。

そうした時にいつでも下ろせて、運用益非課税の積立NISAは優秀だと言えるでしょう。

また、転職をする可能性もあるので、一括でも税金がかなりかかってしまう恐れもあります。

(退職金控除額の計算方式では、勤続年数が大きく関わっていましたよね)

結論としてiDeCoに加入した方が良い人は、

  • 退職金の貰える時期と老後のプランが明確
  • 既に別で運用をやっている

ような人であると言えるでしょう。

また、途中にも記載しましたが、今回の前提条件は一般的な家庭のあるサラリーマンを対象としています。

1人暮らしの方などは受けられる控除も少ないので、入った方が良いかもしれませんね。

いずれにせよ、税金の控除額と受ける制約を天秤にかけて検討するようにしましょう。

ここまでご覧頂いてありがとうございました。

それではまた!!

外部リンク

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