こんにちは、でぃーんです。
本日はホテル大手のマリオットの決算発表のデータをまとめていきます。
最初に2017年〜2019年の通期での決算情報
次に2020年1Qの最新決算の発表をしています。
その前に
以下では財務諸表の数字をまとめています。最低限の知識として、決算書の見方は理解しておく必要があるので、以下の記事をご覧頂いてから読み進めて頂く事をお勧めします。
通年PL
まずはじめに2017年〜2019年の3年間における通年でのPLを見ましょう。

2017 | 2018 | 2019 | |
売上 | 22894 | 20758 | 20979 |
営業利益 | 2518 | 2366 | 1800 |
当期利益 | 1372 | 1907 | 1273 |
マリオットといえばSPGアメックスでも有名なグループなので、もっと売上を伸ばしているのかと思っていたのですが、意外と伸びていませんね。
そして営業利益は売上の10%前後で推移しており、売上が落ちるとひとたまりも無さそうですね。
通期CF
次に通期のCFを見てみましょう。

2017 | 2018 | 2019 | |
営業CF | 2436 | 2357 | 1685 |
投資CF | 1020 | -52 | -282 |
財務CF | -3931 | -2374 | -1508 |
現預金 | 383 | 360 | 253 |
直近3年間はFCFがプラスで推移しておりCFの状況は良いと言えます。
ただ、ホテル事業というのは設備産業であると言え、常に投資を行わないといけないはずなんですが、どうなっているのでしょうか。
もし、更新投資を先延ばしにしているのであれば、将来一気にツケが来ます。
それとも、オペレーションがメインなのでしょうか?
一方で、株主還元にかなりのキャッシュを使っており、現預金の水準はかなり低くなっています。
2019年12月 BS
次に2019年12月期のBSを確認しましょう。
現金 | 225 | 流動負債 | 6677 |
流動資産 | 3127 | 長期借入 | 9963 |
のれん | 9048 | 固定負債 | 24348 |
固定資産 | 28601 | 自己資本 | 703 |
総資産 | 31728 | 総資本 | 31728 |
先程指摘した現預金水準に加えて
- のれんの多さ
- 借入の多さ
- 自己資本の薄さ
が気になりますね。
正直株主還元よりも財務健全性整えた方が良い気がします。
ただ、米国企業は株主還元を優先する為、仕方ないとも言えます。
最新決算 2020年1Q PL
続いて最新決算の4半期毎のPLを見ましょう。

2019 1Q | 2019 2Q | 2019 3Q | 2019 4Q | 2020 1Q | |
売上 | 5012 | 5305 | 5284 | 5730 | 4681 |
営業利益 | 510 | 285 | 616 | 221 | 114 |
当期利益 | 375 | 232 | 387 | 279 | 31 |
前年同月対比
- 売上 6.6% 減収
- 利益 92% 減益
となりました。
よく黒字で留まったとは思いますが、今期コロナウイルスの影響をもろに受けたのは3月の1ヶ月だけです。
更に影響を受ける4月〜6月期の決算では赤字に転落する可能性が高いでしょう。
4半期毎CF
続いて4半期毎のCFを見ましょう。

2019 1Q | 2019 2Q | 2019 3Q | 2019 4Q | 2020 1Q | |
営業CF | 151 | 587 | 452 | 495 | 514 |
投資CF | -88 | -86 | -69 | -41 | 165 |
財務CF | -123 | -481 | -403 | -501 | 850 |
現預金 | 300 | 320 | 300 | 253 | 1782 |
ポイントは
- 営業CFはプラスで推移
- 直近1年で初めて財務CFプラス
- 現預金水準最大
という事でしょう。
流石にこのタイミングでは株主還元は控えて、現預金の水準を高めています。
2020年3月期 BS
最後に2020年3月期のBSを見ましょう。
現金 | 1760 | 流動負債 | 6516 |
流動資産 | 4049 | 長期借入 | 10569 |
のれん | 8901 | 固定負債 | 25569 |
固定資産 | 28016 | 自己資本 | -20 |
総資産 | 32065 | 総資本 | 32065 |
なんと債務超過になっています。
まじかよ!!!
今期黒字であったのに債務超過に陥った原因ですが、今期にも少額ですが自社株買いをしていた事が挙げられます。
確かにアメリカではBSの健全性は余り重視されず、キャッシュポジションと業績が大丈夫なら還元しろという風潮はあるみたいですが、、、。
それでも銀行員の感覚としては「債務超過」というのは気になりますね。
まとめ
今回のまとめとしては
- 意外と投資をしておらず売上も伸び悩んでいる
- 既に債務超過等、財務健全性は低い
- 手元資金は厚く業績も予想の範囲内の悪化。突発破綻は無さそう。
です。
私としては、企業が債務超過に陥ったタイミングでこういった記事をまとめられるのは、本業の勉強にはなるのですが…
魅力的な投資先かと言われると『NO』でしょう。
ただ、現在の株価は大幅に下げているので、逆張り投資を狙っているのであれば、有りかもしれません。
前回記事をまとめたデルタ航空では投資はすべきでないと言ってます。
マリオットとデルタで根本的に違うとことは、コロナウイルスの影響で、売上が90%下がるようなダメージは受けない事です。
マリオットが倒産する可能性は低いですが、航空会社は計算上は倒産する可能性が極めて高いです。詳しくは以下記事で。
ここまでご覧頂いてありがとうございました。
当然ですが投資は自己判断でお願い致します。
それではまた!