こんにちは、でぃーんです。
突然ですが、最近MBAを受講し始めました。
その勉強の過程のアウトプットの場としてブログを活用していきたいと思ってます。
学則で機密情報は書けないので、ふんわりとした部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。
今回はマーケティングで習ったフレームワークを活用し、ニトリとIKEAの日本における成長要因の分析と、今後のニトリがとるべき戦略について考察しています。
家具製品業界
まずは家具業界全体の業界把握をフレームワークを活用して把握していきます。
【市場規模】
市場は世界全体で非常に巨大であるが、顧客ニーズが多様化。どの市場で戦うかの判断が求められている。
【5F】
従来の家具業界(大塚家具以前)は半ば、オーダーメイド製品を生産していた事から、サプライヤーが強かった事が想定されるが、大量生産の現代においては対等もしくは家具業界が強いと考えられる。
また、新規参入も規模の経済の観点から容易で無いと想定できるが、ユーザーの価値観が多様化しており、ニッチな分野では勝機もある。代替品においては、家具という特性上想定出来ない。
【PEST】
Society(社会)に強い影響を受ける。ライフスタイルや価値観の違いによって必要とする家具は違う。例えば、日本人にとって敷布団は一般的(平成17年時点で半数以上)だが、欧米では敷布団の使用率はごく僅かであろう。
【顧客ニーズ】
マインドの変化→一つのものを長くから定期的に模様替えに→価格は低い方がベター
様々なスタイル→西海岸風など日本の文化からの脱却
【KBF】(商品購入の決め手)
価格。ライフスタイルへの良い影響。
【業界特性】
価格競争はあるものの、それぞれ独自の路線で展開。
【KSF】(その業界での勝利方法)
低価格。顧客のライフスタイルへの提案型販売。
平成8年にはベット使用率が28.1%だが、平成17年には45.3%に増加。現在は更に上昇していると思います。(全日本ベット工業会調査)
価値観は多様化している証拠ですね。
IKEAのバリューチェーン
次にIKEAのバリューチェーンを把握します。
【購買物流】
- サプライヤーの物流をIKEAが管理。
【製造】
- 「サプライヤーの能力を買う」精神からサプライヤーへIKEAのノウハウを伝授。
- 原材料の入手などのサポートから長期的なリレーションシップを構築。
【出荷物流】
- 「フラットパック」梱包基準(包装のサイズを一定にする基準)による無駄の削減。
- 愛知県弥富市のディストリビューセンターに一時保存。
【販売/マーケ】
- カタログプロモーション(毎年顧客に向け発送)
- エリア別での顧客へのアプローチ(様々なシーンを提案)
- キャッシュ・アンド・キャリー。顧客が自身で組み立て(最後にまとめて買うシステム)
【サービス】
- どの国でも同じ商品。
- スウェーデンを感じることの出来る空間。IKEAという場所がサービス。
IKEAの概要と成長要因
最後にIKEAの上記バリューチェーン特性と、以下概要を勘案し、当社の日本における成長要因を考察します。
【概要】
- 売上約5兆円、当期利益約2,000億円の世界最大規模の家具メーカーとして日本市場でも拡大傾向。
- 一方、日本単体の収益力でみると売上高840億円、当期利益▲9億円と当期赤字。17/8期からの2期連続赤字であり、日本での収益力が問わている状況。
- 14/8~16/8期は当期黒字であり、発展途上で規模の経済が活かし切れていないという事では無い。
【成長要因】
①低コスト高品質
サプライヤーから販売管理までの一貫したバリューチェーンを当社の管理部門で統括する事により、低コストでの高品質な家具を提供。
②ライフスタイル提案
エリア別の商品展示で顧客にイメージを持たせ、ニーズに直接訴求。また、全世界統一の商品であり、欧米(北欧?)のライフスタイルへの憧れを持っていた層へのアプローチが成功。
③価値体験の場所としての機能
スウェーデンの食事や文化などを感じられる場所であり、単に家具の購入に留まらない価値を提供。
④圧倒的な資本力
日本の家具メーカー各社と比較すると圧倒的な資本力(13年時点でニトリの約100倍の現預金水準)を持ち、その資金力で日本でも拡大したと考えられる。日本での展開は赤字であるが拡大を続けられているのも資本力が背景にあるのだろう。
これらは成長要因であって成功要因ではありません。
ニトリのバリューチェーン
続いてニトリのバリエーションを把握します。
【購買物流】
- 全て自社で行う自己完結型生産体制(SPA)
【製造】
- インドネシアとベトナムの自社生産工場の他に、700を超える協力工場での生産。
- 品質保証マニュアルを基に指導/管理の徹底。
- 販売前には開発技術評価会でのチェック。
【出荷物流】
- 中国/ベトナムに海外物流センターを整備。
- 商社を通さず品質管理/貿易実務など全てを自社で行う。
- 国内で初めてロボット倉庫を導入。
【販売/マーケ】
- 「お、ねだん以上。」を形にすべく90%がPBの開発輸入品。
- 顧客ニーズを想定したブランドを展開。
【サービス】
- 帝人(株)とタッグを組み機能商品の開発に着手。
- ゾーニング(顧客の導線を意識した配置)の徹底によりどの店に言っても同じサービスが受けられる安心感。
- オムニチャネル化。(アプリの開発)
ニトリの概要と成長要因
次にニトリの概要と成長要因を把握します。
【概要】
- 直近3期平均の営業利益率は16%と同業界の雄IKEAの営業利益率9%を大きく上回る。
- 従業員の徹底的な育成や、帝人(株)との積極的な新商品開発の姿勢が功を奏し、調査の結果「顧客ニーズへの対応熱心」の項目で1位、「研究開発力・商品開発力が旺盛」の項目で4位を獲得。
- 今後はドミナントエリアを拡大し2032年には「3千店舗、売上高3兆円」を目指す。
【成長要因】
①高品質/低コスト
上記IKEAと同じであるが、ニトリが拡大を始めた1972年は「家具は一つものを長く使う」が常識であり、「安かろう悪かろう」の考えがベースにあったと想定される中、日本の家具の統一性の無さ、価格の高さに着目し高品質/低コストの家具を展開した当社はまさに破壊的イノベーションを起こしたと言える。
②ドミナントエリア方式
IKEAが世界で309店舗(2018年時点)であるのに対してニトリは日本国内だけで467店舗(2018年時点)もの店舗を構える。従来の家具は一生のお付き合いをする前提で買い物に行っていたと想定されるが、人々の価値観が変わり、模様替えが一般的になった事から、当社は「気軽に入れる家具屋」という立ち位置にいたのではないだろうか。
③ニーズに答える商品
積極的な商品開発などを背景に、「ニトリに行くと思いもよらなかった欲しい商品がある」というマインドを顧客が持っていたと考えられる。実際、ニトリのヒット商品のマットは「スリープ」「ウォーム」「クール」と、1つの商品の横展開で、3つの顧客ニーズに答えられる。
今後のニトリの成長戦略
最後にニトリの今後の戦略について考察します。
今後のニトリの掲げるビジョンは「2032年に3千店舗、売上高3兆円」である事を前提に成長戦略を考察すると、以下3つの戦略をとる事が望ましい。尚、ニトリの強みは「SPA業態の強みを活かした高品質/低価格商品」「商品開発力」「人材」とする。
①海外での出店地域/商材戦略
ニトリのドミナントエリア戦略にて海外展開する時に必要なのは「海外の出店地域を選ぶ」という事であろう。これはIKEAが日本事業において赤字着地していることを受け、またニトリが中国事業で苦戦しているという事実(2019/4/8日経新聞より)から考えられる事である。
家具というのやはり、どれだけ人の価値観が多様化しようが、地域特性が表れる事が容易に想像できる。上記業界特性で考察したように、どれだけ高品質な敷布団を販売しても欧米人の購買意欲には結びつかないだろう。
つまりドミナントエリア的に展開するのであれば以下3点を念頭に戦略を練るべきである。
⑴その地域の顧客に対して、画一的な商品で対応できるのか
もし出来ないのであれば、そのエリアに応じた商品企画をし、
⑵規模の経済が働く状況まで多店舗展開する 若しくは、
⑶従来型の店舗のように顧客に寄り添いコンサルティング型の営業展開をする
必要があると言える。しかし、⑶については小さな成功は収められるかもしれないが、ニトリのビジョンとは一致しない。その為、⑴もしくは⑵の戦略を練る事が必要だと考えられる。
上記戦略を練る事で、顧客本当に必要な商品を「お・ねだん以上」(高品質/低価格)というニトリの理念に沿った形で販売する事が出来る。(顧客ニーズは高品質/低価格)
②人材戦略
ニトリの強みとして人材力が挙げられる。ニトリは2〜3年おきのOJTを通して「ゼネラリストのスペシャリスト」を育成しているとの事だが、この戦略を見直すべきであろう。なぜなら今後世界中に展開していく中で、欧米で求められる能力と中国で求められる能力は違うからだ。家具という顧客のライフスタイルを提案する職業において、従来のようなゼネラリストが必要なのだろうか。その地域のことを深く知り提案出来る人材の育成が求められるように考えられる。
上記戦略を練る事で、顧客のライフスタイルへの自社商品の必要性を訴求する事が出来る。(顧客ニーズは自身のライフスタイルに沿った商品)
③店舗戦略
今後の戦略として店舗の在り方についても戦略を考える必要がある。現在の顧客のKBF(購入の決め手)として最も大きいものの一つに「価値体験」というものが挙げられる。家具業界でいうとIKEAは価値体験を提供できている為、店舗へ行く人は一定数いるだろう。一方、ニトリはどうか。今までニトリに行く理由は、大きく3つあった。
⑴単純に家具を買いに行く
⑵ショッピングモールに来たついでに行く
⑶おもしろいものがないか見に行く
現在の全てネットで完結出来る世の中において、上記の理由でこれからニトリに行く人が増え続けるというのは考えにくい。では、ニトリの店舗はこれからどうあるべきか。モデルにするべきはスーパーマーケット業界にあると考える。
家具業界のニトリとIKEAは、スーパー業界のウォルマートとコストコと同じであろう。コストコも郊外にあり、「お出かけ」としての買い物が出来る一方、ウォルマートは生活インフラの一部である。そのウォルマートがは以下のような戦略を取っている。
⑴BOPIS(Buy Online Picks Up in-store ネットで注文店舗で受取)
⑵EC事業の買収によるデジタル部門の強化
⑶店舗の小規模化
ニトリにおいてもこれらの戦略はまさに取り組むべき戦略であると言えるだろう。つまりこれからの店舗戦略は小規模な店舗をドミナント戦略で出店し、顧客はその店舗で欲しい商品を見たり購入したりするという、シンプルな戦略だ。その為にまずニトリがするべき行動は⑵のEC事業の買収だと考えられる。ニトリは現在でもアプリなどでオムニチャネル化を図っているが、⑴のBOPISなどを実践しようと思った時に自社開発には限界があるのではないだろうか。(顧客ニーズは欲しいものを欲しい時に買うという実にシンプルなもの。店舗での価値体験という顧客ニーズには対応するべきではない)
上記3つの「差別化戦略」にてニトリは今後展開していくべきであると考えられる。
以上です。
ここまでご覧頂いてありがとうございました。
それではまた!!!